【インタビュー記事】名古屋市立大学 坂和秀晃先生に株式投資のコツについて取材しました!

最終更新日:2024年04月30日

専門家: 坂和 秀晃
【インタビュー記事】名古屋市立大学 坂和秀晃先生に株式投資のコツについて取材しました!
坂和 秀晃
坂和 秀晃さん
名古屋市立大学大学院 経済学研究科 准教授

東京大学経済学部卒業、大阪大学経済学研究科で博士(経済学)取得。2017年から1年間フルブライト研究員プログラムを活用して、コロンビア大学ビジネススクールに留学した。金融庁金融経済研究センター特別研究員などを経験。2021年からは、ファイナンス分野のアジア太平洋地域の国際学会のAsian Finance Association 理事(Board of Directors)を務める。現在、名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授として、コーポレート・ガバナンス分野を中心とした研究・教育に従事している。

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名古屋市立大学 大学院経済学研究科・経済学部

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1.株式投資を始めるにあたって重要なことは何ですか?

株式投資を始める人にとって、最初に重要なことは、「自分が、株式投資を何故始めたいと思ったのか?」を明確にすることだと思います。「最近は、株価が上がっていて、投資をすると儲かる」といった話を聞いて株式投資を始めたいと考える人は多いでしょう。あるいは、少額投資に対する非課税制度であるNISA(Nippon Individual Savings Account)などを活用した投資を行いたいと考える人も多くいるでしょう。多くの人は、株式投資をすることで、「貯蓄が増える」と考えて、投資を始めると思います。しかしながら、「株式投資を行えば必ず儲かる」わけではないことには注意が必要です。場合によっては、投資先の企業の株価が大幅に目減りすることもあります。そのようなことになったときに、「投資」を始めたことが失敗だったと過去の自分の判断を悔いても仕方がありません。

これから「株式投資」を始める人は、自分なりの「投資に対する考え方」をはっきりさせることが大切になります。具体的は、「どの程度迄の金額の資金なら「投資」に回してもいいのか?」については、投資を始める前に考えるべき点といえます。①を考えておくことで、次々と投資金額を増やすといったことを避けられます。特に、初めて投資を始めた人は、購入した株式に「利益」が出た時に、投資に自信を持ち、投資金額を「買い増し」をしたいといった気持ちになるケースも多いと思います。特に、投資初心者の場合、始めの成功で、自信過剰になり、「他の目的に必要で積み立てていた貯蓄」まで「投資」に回す場合なども考えられます。この場合、その「投資」に失敗した時に、「他の目的」を果たせなくなり、困ることになります。そのような自体を防ぐためにも、「どの程度の金額までは投資に回していいか?」という点については、「投資」を始める前の段階で決めておく必要が重要になります。

~NISAとは~

NISA(ニーサ)は、少額からの投資を行う方のために2014年1月にスタートした「少額投資非課税制度」です。
イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした日本版ISAとして、NISA(ニーサ・Nippon Individual Savings Account)という愛称がつけられました。

引用:金融庁

2.初心者でも理解しやすい投資戦略はありますか?

初心者でも理解しやすい投資戦略は、インデックス商品を扱う「投資信託」への投資になります。インデックス(Index)とは、日本の代表的な株式225銘柄の加重平均値を表す日経225、あるいは米国の代表的な株式500銘柄の加重平均値を表すS&P500などが挙げられます。これらのインデックスの価格は、市場全体の平均的な価格に対応しています。毎日の日経225の価格は、日本株の平均的な価格を示し、S&P500の価格は、米国株の平均的な価格を示している。したがって、たとえば、日経225連動型の投資信託を購入すれば、「日本株が平均的に値上がりしていれば得をして、平均的に値下がりすれば損をする」といったことが想定されます。特定の市場全体の株価が上昇するか、下降するかといった視点のみで考えればいいので、投資初心者にとっては、分かりやすい投資になると思います。

~投資信託とは~

「投資信託(ファンド)」とは、一言でいえば「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」です。
「集めた資金をどのような対象に投資するか」は、投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が行います。

引用:一般社団法人 投資信託協会

3.先生が株式投資するとしたら、どの財務指標に着目しますか?

株式投資を行う際に個人的に注目する重要な指標としては、3つあります。投資家として、株式保有をすることで、企業としては、「収益性」が高く、「負債比率」が低く、「株主還元率」が高い銘柄を保有することが、重要と考えています。

一つ目の「収益性」は、「企業がどの程度収益を上げているか?」を表す指標になります。「収益性」の指標としては、企業の当期純利益を資産で割ることで求められるROA (Return on Assets)、あるいは、当期純利益を株式資本で割ることで求められるROE (Return on Equity)などがあります。「収益性」の高い企業については、将来の業績見通しが良いため、株価が上がることが予想されます。

二つ目の「負債比率」については、負債比率が高い企業は、将来の企業経営が悪化する可能性が高いといえます。特に、コロナ期に「負債比率」が高まった企業は、その利払いの必要もあるため、十分な利益を出すことが難しくなることも予想されます。特に、「負債比率」の高い企業については、「コロナ渦の後、その比率が増えているかどうか?」についても確認することが重要です。コロナ渦の後に、更に負債比率の高まっている企業などは、経営状況が悪い可能性があります。

最後の「株主還元率」としては、「配当利回り」などが代表的な指標になります。企業は、株式を購入するという形で、外部の資金を出資している株主に対して、利益が出たときには、その一部を還元することになります。その時に、「純利益の何%位を株主に還元するか?」を表した指標が、「配当利回り」になります。この指標が高いほど、「株主は出資(株式購入)に対して、どの程度還元されたか?」を表しているため、高い企業ほど、還元率が高く、投資先として望ましいと考えられます。

~ROAとは~

Return On Assetの略称で和訳は総資産利益率。利益を総資産(総資本)で除した、総合的な収益性の財務指標である。
企業に投下された総資産(総資本)が、利益獲得のためにどれほど効率的に利用されているかを表す。分子の利益は、営業利益、経常利益、当期利益(当期純利益)などが使われ、総資産(総資本)営業利益率、総資本(総資産)経常利益率、総資本(総資産)純利益率、とそれぞれ定義される。

引用:野村證券ーROA 証券用語解説集

ROAの計算式

ROA(%)=利益÷総資産✕100

~ROEとは~

Return On Equityの略称で、和訳は自己資本利益率。企業の自己資本(株主資本)に対する当期純利益の割合で、計算式はROE(%)=当期純利益 ÷ 自己資本 × 100、またはROE(%)=EPS(一株当たり利益)÷ BPS(一株当たり純資産)× 100。
ROE(自己資本利益率)は、投資家が投下した資本に対し、企業がどれだけの利益を上げているかを表す重要な財務指標。ROEの数値が高いほど経営効率が良いと言える。

引用:野村證券ーROE 証券用語解説集

4.日経平均株価が 34 年ぶりに高値更新しましたが、 現状の株価水準についてどう思いますか?

現在の高水準の株価については、主に2つの原因があると考えています。一つ目の理由としては、2024年度から開始されたNISAの新制度の影響が大きいと考えています。NISAの新制度により、従来の年間非課税枠が、120万円から240万円に倍増は、非課税期間が無制限になるなどの改革が行われました。この新型NISAの登場によって、「NISAによる投資利益に対する税金の支払い分が減る」ことになります。したがって、NISAを利用する個人投資家の増加やNISA利用者の利用金額の増加につながると考えられます。NISAでの株式取引が増えれば増えるほど、株式市場に流入する資金が増えるので、全体的に株価が上昇すると考えられます。

2つ目の原因としては、「円安」が考えられます。「円安」が進んだ状況では、外国人投資家にとって見れば、日本株の割安感が高まっていると考えられます。その意味で、外国人投資家の日本株の購入が全体的に増えていることが、日本株の高水準に寄与していると予想されます。

円安とは、円の他通貨に対する相対的価値(円1単位で交換できる他通貨の単位数)が相対的に少ない状態のことです。

引用:日本銀行 ー 円高、円安とは何ですか?

5.今後日本企業のコーポレート・ガバナンスはどうなっていくと思いますか?

日本企業のコーポレート・ガバナンスについては、着実に変化が進んでいます。東京証券取引所においても、2015年からは、「コーポレート・ガバナンスコード」が制定され、その後も同コードが改訂されるなど、上場企業に対するコーポレート・ガバナンスの改革を求める機運が高まっています。そのような状況下で、「社外取締役の登用」なども着実に進んでいます。また、「社外取締役」として本当にその人が十分な能力・専門性を持っているのか?という点を確認する為のスキル・マトリックスの公開なども多くの企業で始まっています。

米国企業においても、2000年代初頭のエネルギー大手企業のエンロン社の「会計不正」事件とその後の破綻が起こった後に、コーポレート・ガバナンス改革の必要性が認識され、その後の改革が進められた経緯もあります。近年、我が国の企業においても、東芝の会計不正などコーポレート・ガバナンスが十分に機能していないといわれる会計不正などの事件も起こっています。おそらく、2000年代の米国企業の場合と同様に、我が国においても、コーポレート・ガバナンス改革が進んでいくと予想しています。

~コーポレート・ガバナンスとは~

会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みのこと。
本来、経営者は株主利益の最大化を達成するために企業の運営を行うものである。1980年代に、米国では、経営者が株主利益の最大化を図って運営しているかを監視する仕組みを設け、これをコーポレート・ガバナンスと呼んで重視するようになった。

引用:日本公認会計士協会 - コーポレート・ガバナンス(企業統治)

~社外取締役とは~

社外取締役とは、社内にしがらみのない立場(利害関係のない立場)から、取締役会の決定・監督に参画する取締役です。
社外取締役は、これまでは任意とされていましたが、2021年3月の改正会社法で、一定の会社に設置が義務づけられることとなりました。
また、社外取締役になる人の要件としては、過去・現在にわたってその会社で業務の経験がないことなどがあります。たとえば、10年以内に業務執行取締役だったり親会社の取締役だったりした場合は、社外取締役となることはできません。

引用:経理COMPASS - freee税理士検索
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